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【公認会計士かUSCPAか?】試験制度とキャリア選択肢で決めよう「比較表付き」

2019-06-19

マリー

USCPA・豪州勅許会計士。海外に住んで働いて《人生の選択肢》が増えました。海外でも活躍できる職種の選びかたなど、国際キャリアで自分らしく生きるTIPSをお届けします。2回目の海外移住(欧州)を計画中。

会計士資格を目指そうと考えるとき、「公認会計士あるいはUSCPA(米国公認会計士、米国CPA)のどっちを目指そうか?」という問題があります。

その際には、試験制度の違いに加えて、キャリアにおける選択肢にも目を向けると、取得した資格を活かして自分らしいキャリアを歩んでいける可能性が高まります。

  • 資格取得に合格するという点では、公認会計士試験とUSCPA試験では、どのような違いがあるか?
  • キャリアにおいては、公認会計士とUSCPAでは、どのような違いがあるか?

ここでは、このような疑問を整理してみましょう。ひとつの考え方として、公認会計士かUSCPAかを迷っているときの参考にしてくださいね。

やや長い記事なので、最初に概観を知りたいという場合は、記事の後半にある比較表を参照をご参照ください。

当記事は、2019年6月時点の情報を参考にしています。

 

 

 

 

 

「試験制度の特徴」から見た公認会計士試験とUSCPA試験の違い

合格率の違い

日本の公認会計士は、ここ数年の最終合格率は10%~11%台で推移しており、国家試験のなかでも非常に難関の試験とされています。

公認会計士は狙い目資格か?実質の合格率からわかること【2018年版】で見たように、欠席者を除いた実質の合格率では、2018年度で短答式試験で20.3%、論文式試験で39.4%となっており、しっかりとした試験勉強をすれば合格をめざせる試験ではありますが、難関試験という理解に変わりはありません。

 

USCPA試験は、競争試験ではなく「絶対試験」、つまり受験者間の相対評価ではなく「各科目とも75点以上であれば合格」という特徴があります。

USCPA試験の各科目の合格率は、AICPA(米国公認会計士協会)のCPA Examというページで四半期ごとの科目別合格率が公表されており、だいたい50%前後となっています。例えば、2019年のQ1(第1四半期)の科目別合格率は、以下の通りでした。

科目合格率
Financial Accounting & Reporting(FAR)
(財務会計論)
44.43%
Auditing & Attestation(AUD)
(監査論)
48.56%
Regulation(REG)
(諸法規)
50.23%
Business Environment & Concepts(BEC)
(ビジネス環境および諸概念)
58.00%

 

合格率においては、USCPAのほうが各段に合格をめざしやすい試験である、ということが言えます。

 

科目合格制度の違い

日本の公認会計士試験では、免除科目以外はすべて受験する必要があります。

さらに、短答式試験には科目合格の制度はなく、4科目の総点数で判断されます。また、論文式試験では、一部科目合格制度により合格した論文科目は、以後2年間免除となりますが、基本的に受験した科目の総点数で判断されます。

これに対して、USCPA試験は、1科目ごとの受験&科目ごとの合格が可能です。科目合格の有効期限は18ヵ月となっています。

試験準備という視点では、USCPA試験の方が準備しやすい試験である、と言えそうですね。

 

受験資格の違い

日本の公認会計士試験には、学歴などの受験資格はありません。そのため、【高校生が公認会計士をめざす】10代で会計士試験を目指すメリットでご紹介したように、10代での公認会計士試験合格者も毎年一定数いますし、大学在学中の合格者も非常に多くいます。

これに対して、USCPA試験の場合、州によって細かくは異なりますが、一般的に、以下の2つの受験資格を満たす必要があります。

  • 4年生大学卒の学位号「Bachelor Degree」レベル以上を取得していること。ただし、受験だけであれば、大学卒業前に可能(後述)。
  • 大学等で、会計・ビジネス関係の単位を一定数以上取得していること。USCPA受験の専門学校で必要な会計・ビジネス関係の単位を取得が可能。
大学在学中に合格を目指せる!

必ずしも大学卒業後でなくても、州によっては在学中にUSCPA試験を受けることができます。以下はその一例です。

  • グアムでは、受験資格を満たさなくても、18ヵ月以内に満たす場合は「見込受験」「暫定合格」が可能なため、大学在学中にUSCPA試験合格を目指せます。
  • モンタナ州では、4年生大学卒業でなくても受験できます。(ライセンス取得には、4年生大学の学位が必要)

「大学時代にUSCPAを目指す」ことについては、いろいろな考え方があります。

以前はUSCPAは卒業してからで十分という考え方が多かった面があります。しかし、最近は、新卒でコンサルティング会社への就職の人気が高まっており、「在学中にUSCPA試験合格」することで、就職活動を断然に有利に進められます。大学在学中にUSCPA試験を目指すことが、より注目されるようになっています。

 

大学在学中の受験は、公認会計士試験もUSCPA試験もどちらも可能(USCPAは出願州は限定)。ただし、合格率という点ではUSCPAの方が確実に合格を目指せます。

 

試験科目の違い

当然のことながら、日本の公認会計士は日本の資格、USCPAは米国の資格です。

資格のベースにある会計基準や法律が異なりますから、試験科目にもそれが反映されています。下記にその概要を整理しました。

公認会計士試験の試験科目と出題範囲

【短答式試験】財務会計論・管理会計論・監査論・企業法の4科目

【論文式試験】
必修:会計学・監査論・企業法・租税法の4科目
選択:経営学・経済学・民法・統計学から1科目選択

出題範囲については、公認会計士・監査委員会により公表されています。
参考:平成31年(令和元年)公認会計士試験の出題範囲の要旨について

USCPA試験での試験科目と出題範囲

Financial Accounting & Reporting(FAR)財務会計論
Auditing & Attestation(AUD)監査論
Regulation(REG)諸法規
Business Environment & Concepts(BEC)ビジネス環境および諸概念

出題範囲については、AICPAのウェブページで確認することができます。
参考: CPA Exam Study Materials

 

上記からわかるのは、両試験ともに、試験範囲として「幅広い科目・分野が設定されている」という点です。

    • 当然のことながら、テストで問われる会計基準や法規(会社法や税法など)は、基本的に公認会計士試験は日本のもの、USCPAは米国のものが中心となります。
    • 米国のBusiness Law(ビジネス法)Federal Taxation(連邦税法)など、日本で会計実務する限りではあまり使わない分野も、試験準備しなくてはならない点に留意が必要です。
USCPAに必要となる英語力は?
  • USCPA試験はすべて英語で行われますが、使われる英語は会計・ビジネス用語に限られるので、高度な英語力は必要ありません。
  • 一般的に高校英語のレベル(大学入試で英語を勉強したレベル)であれば、USCPA試験を目指すのには十分なベースがあると考えられます。
  • USCPAの試験勉強をしていくなかで、会計英語・ビジネス英語の力が養われていきます。

 

「ライセンス取得に必要な経験」から見た公認会計士とUSCPA資格の違い

日本の公認会計士の資格を取得するには、以下の3つが必要になります。

日本の公認会計士の資格取得に必要なこと

(1) 公認会計士試験に合格した者(免除された者を含む)であること
(2) 実務経験(業務補助等)の期間が2年以上ある者であること
(3) 実務補習を修了し、内閣総理大臣の確認を受けた者であること

 

つまり、公認会計士試験に合格したのち、(2)の実務経験と(3)の実務補習の要件を満たす必要があります。

  • 実務経験については、公認会計士法に詳しく内容が規定されており、多くの人は業務補助(監査業務の補助)を実務経験として公認会計士になります。
  • 一般企業での経験は、資本金5億円以上の法人等を対象とすることが必要になります。
  • 一般企業での経験が認められるか否かについては、個別に判断されることとなっています。

 

USCPAの場合は、USCPA資格(ライセンス)は米国の州ごとのライセンスになります。

USCPAのライセンス取得に必要なこと(例)
  • 州によりライセンス取得に必要な要件(実務経験、学歴等)が異なります。
  • 多くの州で、実務経験2,000時間(1年)以上が必要になります。
  • 監査法人・会計事務所での経験だけでなく、一般企業の経験(監査だけでなく、経理・税務・コンサルティングなど)を幅広く認めている州もあります。
  • 多くの州で、USCPAホルダーによる経験証明を必要となります。
  • 州によっては、ライセンス取得に150単位(一般的に4年生大学で120単位)が必要となります。

 

つまり、USCPAの場合は、州を選べば、「必ずしも監査経験を必要としない」「一般企業に勤める場合も企業規模には寄らない」というメリットがあります。しかし、4年生大学卒業の単位数では足りない州がある点にも留意が必要です。

USCPA受験の各予備校・スクールで、ライセンス取得希望者を対象としてサービスを提供しています。いろいろなケースを知っているので、ライセンス取得まで考える場合には、これらのスクールのアドバイスを得るのが近道でしょう。

 

 

 

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「キャリアの視点」から見た公認会計士とUSCPA資格の違い

サービス提供の相手が異なる

公認会計士は、キャリアの前半においては、監査法人で監査業務に携わるケースがほとんどのため、日本の上場企業を相手に仕事をすることになります。

  • 公認会計士で、監査法人所属する人のうち大手監査法人に所属する人の割合は、75%を超えています。
  • 一般的に知られている大企業を相手にビジネスをしていくことになります。
  • 大きな監査チームでの仕事が多くなります。

これに対して、USCPAは、監査法人勤務であれば外資系企業担当、一般企業勤務の場合も外資系企業勤務の場合が多く、レポート先はいずれも多国籍企業・海外企業となります。

  • 多国籍起業・海外企業の全体での規模は大きくても、直接対象となる日本法人の規模は小さいという場合は多くあります。
  • 監査も少人数のチームで行われることが多くなります。
  • 外資系企業の経理部門の規模は、業種にもよりますが、大人数の経理部門である場合は限られています。

 

資格としての国際性の違い

視点を海外へ向けてみると、USCPAの国際性が注目されます。

USCPA資格は、以下の国の会計士協会と相互承認制度(Mutual Recognition Agreement)を設けています。

USCPAの相互承認制度

NASBA(National Association of State Board Accountancy:全米州政府会計委員会)によると、USCPAは下記の国の会計士協会と相互承認制度があります。
細かい規定はあるものの、相互承認を受けている会計士協会同士では、双方の会計士が相手側の会計士協会のライセンスを受けることができることとなっています。

  • オーストラリア
  • ニュージーランド
  • カナダ
  • 香港
  • アイルランド
  • メキシコ
  • スコットランド

参考:
Mutual Recognition Agreements(NASBA)
Publications(NASBA)

 

日本の公認会計士に目を向けると、資格としての国際化は、まだ道半ばと言えそうです。

日本公認会計士協会は、国際会計士連盟(IFAC)、アジア・太平洋会計士連盟(CAPA)、グローバル・アカウンティング・アライアンス(GAA)等の会計士の国際団体のメンバーであり、いろいろな国際化活動を行っています。

しかしながら、資格として日本の公認会計士が、相互承認制度を持っている他国の会計士協会は、2019年時点においてはありません。

日本の公認会計士試験は、他の多くの国の会計士試験と比較して、合格率が低く難関の試験です。語学の問題というよりも、このような試験制度の大きな違いが、相互承認制度を簡単には設けることができない大きな理由かもしれませんね。

 

将来的に、本格的に海外へ移り住んで、「国際会計士として活躍をしたい」という場合には、USCPA資格がおすすめの選択と言えるでしょう。

 

「移動力」の地域性が異なる

日本の公認会計士は、希望をすれば、大都市圏が多くはなりますが、日本全国のいろいろな地域で働くチャンスを持てます。

  • 大手の監査法人は、全国に事業所を持っています。
  • 一般企業に転じたのちも、日本でUターン、Iターンなどで、大都市から地方へ移って働くという選択肢もあります。

USCPAの場合は、日本国内では、監査法人、一般企業、コンサルティング会社など、どの場合においても東京圏が活躍の場となるケースが多くなります。さらに、海外で活躍するチャンスも考えられます。

  • 監査法人や日系企業から、海外赴任というチャンスが考えられます。
  • USCPA資格を活かして、海外転職によって海外で働くという道もあります。

公認会計士もUSCPAも、合格して間もないキャリアの初期においては、「移動力」の差がキャリアに与える影響は大きくありません。しかし、キャリア中盤になってくると、移動力の地域性と自分が望むキャリアの方向性が一致していることが、キャリア&ライフデザインの視点からも大切になってきます。

「10年後・20年後にどんな場所で働いていたいか?」を考えてみるとよいでしょう。

 


 

これからの時代は、長い人生において「幸せなキャリア」を歩んでいくためのひとつとして、「移動力」をもつことが挙げられます。移動力があることで、自分の望むライフスタイルに応じた場所で生きていく選択を持つことができるからです。以下の記事も参考にしてください。

 

キャリアの選択肢の違い

上記の移動力とも関連する点がありますが、公認会計士とUSCPAでは、長期的にみたキャリアの選択肢は、大きく異なる面を持っています。

日本の公認会計士は、監査法人でのパートナー、会計コンサルタント、大企業を中心とする経理管理職などに加えて、上場をめざすベンチャーのCFO、税務へ転じて独立、会計士経験を活かした起業など、さまざまなチョイスが考えられます。経験を積んだ後には、企業の顧問や監査役といった仕事をしていく機会もあるでしょう。

USCPAの場合も、外資系企業のマネージャー・コントローラーなどの管理職や会計コンサルタントなど、いろいろな選択肢があります。しかし、資格を活かしての上場会社での仕事や、起業独立といった選択肢は限られます。

資格取得の段階では、なかなか長期的なことまでは考えが及びませんが、自分がどのような組織で仕事をしていきたいか(組織の規模や特性)を考えてみると、どちらの資格が自分の希望するチャンスを与えてくれそうか、考えやすいかと思います。

 


 

将来的に「独立志向」がある場合には、一般的に、公認会計士よりも税理士のほうが「独立に近い」面が多いので、選択肢として税理士も比較検討してみるとよいでしょう。下記の記事も参考にしてください。

 

上記をまとめた公認会計士とUSCPAの比較表

ここまで、いろいろな点について細かく見てきました。

下記に、サマリーーをひとつの表としてまとめてみましたので、参考にしてくださいね。

 日本の公認会計士USCPA
合格率10%~11%台各科目50%前後
試験制度短答式と論文式の2段階で試験合格4科目全科目合格で試験合格
科目合格総点数で判断
論文式は一部科目合格制あり
1科目ごとの受験可能
科目合格制あり
受験資格受験資格は特にあし学歴・単位取得要件あり
試験科目短答式:4科目
論文式:必修4科目、選択1科目
4科目
ライセンス取得に必要な経験主として監査経験
一般企業は大企業での経験のみ
州により異なる
幅広い経験が認められる州もあり
サービス提供の相手大企業が中心となる傾向外資系・海外企業が中心となる傾向
資格としての国際性の違い他国との相互承認制度なし他国との相互承認制度あり
移動力の地域性大都市圏が多い
日本全国Uターン、Iターンという選択も可能
東京圏が多い
海外で活躍のチャンスもあり
キャリアの選択肢の違い幅広いキャリアの選択肢
資格を活かした独立という道もあり
外資系企業を中心に活躍
資格を活かした独立は限定的

 

 

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自分にとってのベターを選ぼう

このように、公認会計士とUSCPAは、会計専門家の資格として、それぞれに特徴を持っています。どちらも資格を取得することで、自分自身でキャリアをマネージメントしていける要素が大きいという点が魅力です。

誰にでもあてはまる「どちらの資格のほうがよいか?」という回答はありません。ただ、望むキャリアや現在の年齢によって、資格の特質を理解して「どちらかベターな方を選ぶ」のがおすすめです。

当サイトのマリーの場合は、年齢的に大学を卒業して20代半ばへ差しかかっていたこと、1年~2年以内には絶対合格したいと思ったことから、USCPAを選びました。

 

自分が進みたいキャリアの報告性やキャリアの可能性をよく考えて選ぶのがおすすめです。いずれにしても、受験対策コースの専門学校の最新の情報を得て判断するようにしてくださいね。

 

 

まとめ

公認会計士とUSCPAのどちらの資格を目指すかは、会計プロフェッショナルとしてのキャリア上は大きな決断となります。上記は、いくつかの切り口から比較したものですが、いろいろな考え方があるので、ひとつの参考として捉えてください。

いずれの資格も、受験対策の専門学校・専門スクールの資料や説明会で、資格取得者の実例やケーススタディを知ることができるはずです。資料や説明会は無料ですから、遠慮しないで、いろいろな所から情報収集をして、じっくり検討していくようにしましょう。

当記事が、公認会計士かUSCPAのどちらか?と迷っている方の参考になれば幸いです!

 

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