「国際派のキャリア」というと、「海外で働く」ことをめざす方も多いと思いますが、今はどこにいても「国際的な仕事」「グローバルな仕事」をすることができます。
- いきなり「海外で働く」ことをめざすのではなく、まずは日本で「専門性」と「語学力」を磨いて、キャリアのベースをつくりたい
- 「海外で働く」ことは選択肢のひとつだが、必ずしもこだわりはない。日本にいつつ「グローバル視点」でのキャリアをめざしたい
- 海外での生活を終えて日本へ帰国するので、「海外での経験」と「語学力」を活かして、日本でさらにキャリアアップしたい
と考える方も多いかと思います。
このように考えている方へ向けて、ここでは以下のことをご紹介いたします。
本記事の内容
- 日本にいながらの「国際派キャリア」7つのタイプ
- それぞれの特徴と代表的なキャリア例
当ウェブマガジンの編集長こまちは、新卒での就職を2年あまりで退職したあとに「国際派キャリア」をめざしてキャリアチェンジ。その後に外資系企業で働いたり、海外移住して多国籍な環境で仕事をしたりして、「グローバルに仕事をしたい」という夢を実現させてきました。
かつてのこまちと同じように「国際派キャリアをめざそう」という方は、キャリアのロードマップつくりの参考にしてくださいね。
当記事は、2021年6月の情報を参考にしています。
日本にいながらの国際派キャリア
ここでは、日本に住んでいながらの「国際派キャリア」「グローバルキャリア」を、7つの働きかたに分けてご紹介いたします。
1. 外資系企業の日本法人で働く
1番目は、日本にある外資系の日本支社で働くという方法です。
日本には数千社の外資系企業の日本法人があります。それらは、業種、日本へ進出してからの年数、親会社の国籍、グローバルでの規模、日本支社の規模、日本支社のグローバルに占める割合、Expat(海外から日本へ赴任している外国人)の人数によって、会社の社風や人事制度は大きく異なります。
ざっくりと、外資系企業のタイプとよく見られる特徴を整理してみました。
- 日本法人の規模が比較的大きい:日本支社の社員が数百人~数千人。業種によってもカルチャーが結構異なる。
- 外資系日本法人の規模が中くらい:日本支社の社員が百人~数百人程度。バランスがとれている場合が比較的多い。
- 日本法人の規模が小さい:日本支社の社員が数十人~百人程度。社長のマネジメントスタイルの影響を強く受けがち。
- 元々は日本企業を海外企業が買収した:日本的なカルチャーが残っている場合もあるが、急激な外資化もあり。
- 外資系企業との合弁会社:株式比率により社風や経営体制に大きな違いがある。
求められる英語力(語学力)も、外資系企業の業種や職種によって違ってきます。一般的には、ポジションが高くなるほど、求められる英語力も高くなります。
職種で採用されるので、本人の希望などを除いては、職種が変わる人事異動はほとんどありません。
直接に海外へレポートする(上司や同僚が海外にいる)ポジションになると、海外とほぼ同じスタンスで仕事ができますので、海外のワークスタイルを希望する方にはおすすめです。
企業規模が小さい外資系の場合、「上司と合わない」「仕事が合わない」といった状況になると社内での行き場がなくて再び転職になりがちです。そのため、企業選びを慎重にする必要があります。
外資系企業で長くキャリアを継続している人たちの共通点として、英語力に加えて「専門性が高い」「売れるスキルを持っている」という点があります。経験と転職を重ねて、自分に合う会社&仕事に巡り合うケースが多いように思いますね。
2. 日系グローバル企業で働く
2番目は、海外でビジネスを展開している日系グローバル企業の国際部門、海外部門で働くという方法です。
将来的には海外赴任が予定されている部門であることも多いです。
企業や職種もよりますが、商社の総合職やメーカーの海外営業であれば、新卒から定年まで勤める場合で、数回程度の海外勤務をするようです。キャリアの3割程度の期間を海外で過ごす方も珍しくありません。
転職の場合、外資系企業か日系グローバル企業のどちらをめざすかは、自分の職種やキャリアプランによって異なってきます。キャリア上の大きな決断になるので、転職活動に際して、じっくり検討すべきポイントですね。
3.リモートワークで海外企業の仕事をする
3番目は、海外にある企業に日本からリモートで働くという方法です。
日本の現状では、このケースはまだ少数派かもしれませんが、海外を見ていると、国や場所に関係なく仕事をしている人たちがたくさんいます。日本でも海外へ向けてリモートワークする人が増えてくると予想されます。
日本にいながら海外と同じワークスタイルで仕事できるので、海外から日本へ帰国する方にも、おすすめの働きかたです。
4. 国際派の士業として働く
4番目は、国際的な仕事をする士業・スペシャリストとして働く方法です。
士業というと国内的な仕事のイメージが強いかもしれませんが、国際派の士業の仕事で活躍されている方もたくさんいます。
国際派の士業の例
- 渉外弁護士
- 国際会計士
- 国際税務スペシャリスト
- 通関士
- 外国人のビザや起業に関わる行政書士
5. 国際派の専門職・研究者として働く
5番目は、国際的な仕事に関わる専門職や研究者として働く方法です。
国際派の専門職・研究者の例
- シンクタンクの研究者
- 大学の研究機関の研究者
- 企業の研究所に勤める研究職
- 美術館のキュレーター
- イベントオーガナイザー
- 通訳者、翻訳者
- 通訳案内士
6. 外国政府の大使館や国際機関の日本事務所で働く
6番目は、外国政府の日本にある大使館など、あるいは国際機関の日本事務所で働くという方法です。
外国政府の大使館・国際機関の日本事務所の例
- 外国政府の大使館、領事館
- 外国政府の貿易事務所
- 外国政府の観光局
- 国際連合広報センター(その他、20を超える国際機関の事務所が日本にある)
7. インバウンド(ホスピタリティ)分野で働く
7番目は、来日する外国人を対象としたビジネスで働く方法です。
インバウンド分野での仕事の例
- 外国人が多く滞在するホテル・観光施設
- 外国人を対象とする国内ツアーコンダクター
- 留学生の多いの大学職員
- インターナショナルスクール
- 外国人も対象とするクリニック・歯科
国際派キャリアに求められる必須のスキル
上記で見たように、いろいろな分野で、日本にいながら国際的な視点での仕事、グローバルな感覚を活かしながらの仕事があります。
ここでは、これらに共通して求められるスキルを見ていきましょう。
専門性
「英語力(語学力)を活かしたいから国際派キャリアをめざしたい」と考える場合もありますが、それよりも、自分のやりたい「専門分野」「専門スキル」を国際的な環境で使いたい(⇒そのために英語力が必要になる)という考え方のほうが、長い視点でキャリアを楽しみながら継続でしょう。
というのは、通訳や翻訳など英語力そのものが専門分野である場合を除いて、語学力は専門スキルを使うためのツールであって、キャリアの目的ではないからです。
キャリアのはやい段階から、自分の専門を決めて「その分野での経験を積む」「必要な資格を取得する」などを心がけることが、国際派キャリアを長期にわたって成功させるい基礎(ベース)になります。
英語力(語学力)
英語力(語学力)は、国際派キャリアを歩んでいくための前提条件です。
- 国際派キャリアの入り口の段階である程度の英語力をもつ
- キャリアを通じて、英語力を磨いていく(高いポジションほど高い英語力が求められる場合が多い)
という点を理解して、必要なときに「集中して英語力を磨く」ことをおすすめします。
「英語力に自信がない」という理由でキャリアが停滞する場合があります。集中して英語力を磨くことは、多くの場合、昇進や転職で年収アップに直接つながる効果的な投資です。今は、オンラインでも勉強できる効率のよい勉強法やスクールもあるので、自分に合うものを利用していきたいですね。
自分を理解する力
日本人同士の「あうんの呼吸」が通用しない多国籍・多様性のある国際的な環境においては、「自分のキャリアを自分でつくりあげていく」ことが求められます。
それには、仕事上の専門性自分自身の礎となる考え方を、まずは自分自身で理解すること、つまり
- 自分がどのような人間であるか?:自分が「幸せ」と感じるもの、あるいは「嫌い」と感じるものを理解する。
- 自分はどの分野で仕事をしていきたいのか?:自分のキャリアの軸を決める。(将来的に変更もあり)
- 自分が望むワークスタイル・ライフスタイルは何であるか?:自分の価値観で働きかた、生きかたを選んでいく。
ということが前提になります。
キャリアのはやい段階、そしてキャリアの転機ごとに、「自分自身に向き合う時間」をもって、職場とは関係のない場所で、「自分の性格についての理解を深める」「専門のキャリアコーチングを受ける」などをおすすめします。
まとめ:今は日本にいながらグローバルに働ける時代
日本にいながら、さまざまな形で国際派キャリアを実践できる時代になりました。
上記では7つの働きかたをご紹介しましたが、多くの方は、たとえば「日系グローバル企業から転職して外資系企業へ」「資格を取得して国際会計士へ」「海外から帰国して日本にある大使館へ就職」などと、複数の働きかたを通じて国際派キャリアを長期にわたって継続させていくことになるでしょう。
当記事が、「日本にいながら国際的な仕事をしたい」と考える方のキャリアデザイン、キャリアディベロプメントの参考になればうれしいです!