「海外で働きたい」という心に芽生えた小さな想いを実現させていくには、「海外で働く方法を理解⇒実現へのロードマップづくり」をしていくことになります。
決してむずかしいことではなく、少しずつ歩みを進めることによって、「海外で働く」という夢を多くの人が実現させています。(当ウェブマガジンの編集長こまちも、キャリアチェンジ⇒外資系⇒海外移住という体験をしました。)
この記事では、「海外で働いてみたい」と漠然と考えている方に向けて、以下の内容をお届けいたします。
本記事の内容
- 海外で働く方法(組織からの赴任、自ら移り住む、永住ビザ取得)
- 各タイプの特徴・メリット・デメリットやロードマップの例
従来からある方法に加えて、この数年で増えつつある「比較的新しい海外での働きかた」についてもご紹介します。学生~30代の比較的若い世代にとっての選択肢に加えて、40代以降のミドル&シニアにとっての選択肢についてもご案内しています。
「自分はどの方法で海外をめざすか?」を検討して、それを実現するための「ロードマップ」をつくる参考にしてくださいね。
盛りだくさんの内容なので、目次から興味のある項目へ飛んで読み進めてください。
当記事は、2021年6月時点の情報を参考にしています。
組織からの赴任等により海外で働く方法
まずは、企業や官公庁からの赴任・派遣・転属などによって海外で働く方法を見ていきましょう。
1. 日本企業から海外赴任して海外で働く
最初にご紹介するのは、海外でビジネスを行っている日本企業で働き、そこから海外赴任(海外転勤)して海外で働くという方法です。
一般的には、商社や金融機関からの海外転勤を思い浮かべる方も多いと思いますが、下記に挙げるように海外赴任にもいろいろなケースがあります。
「日本企業から海外赴任」の代表的な例
- 日系グローバル企業からの海外転勤:国際展開している日本の大手企業、たとえば商社・金融機関・メーカーからの海外赴任。
- 海外展開している中小企業からの海外転勤:アジア進出する中小企業において、担当者としての海外赴任。
- 海外駐在ポジション募集に応募して転職:語学や専門性ある海外駐在ポジションを募集しているケースに応募して入社&海外へ。
- コンサルティングファームでの海外勤務:監査法人や弁護士法人などの専門職として提携の国際オフィスでの海外勤務。
「日本企業から海外赴任」のメリット&デメリット
- 海外赴任手当など会社による金額面のサポートが(比較的)充実している。
- 海外赴任中もキャリアを継続。基本的に帰国後も戻る先がある。
- 海外赴任の場所やタイミングが、自分の希望とおりになるとは限らない。
- 日本の組織文化に縛られるリスク。海外なのに日本的ワークスタイルの可能性あり。
ここでは、「日系グローバル企業から海外赴任」する場合の代表的なステップを考えてみましょう。
- 新卒あるいは転職で「海外赴任のある会社」へ入社する。
- 海外部門や国際部門などで海外事業にかかわる経験を積む。
- その間に海外勤務要員となるための英語力などの条件を満たす。
- 海外赴任の辞令が出て、海外赴任となる。
企業からの海外赴任なので、「海外赴任の可能性がある会社へ入社する」ということが大前提になります。そこから逆算して、「どんな専門性が必要か」「期待される英語力」などを考えることができますね。
新卒でむずかしかった就職先も、数年の経験を経て「転職でめざす」という戦略もあり得ます。
当ウェブマガジンのこまちには、海外勤務を狙って転職をした友人がいました。転職して数年後に海外赴任。家族でニューヨークへ引越して夢を実現していました。この方法に興味ある方ですでに社会人の方は、「戦略的な転職」を考えましょう。
2. 外資系企業から海外転属して海外で働く
2番目は、日本にある外資系企業へ就職をして、そこから海外オフィスへ転属をして海外で働くという方法です。
海外オフィスに転属して海外で働くには、その国で合法に働けるビザを持っている必要があります。そのため、外資系企業から海外赴任・海外転属するには、このビザの問題をクリアできることが前提条件になります。
「外資系企業から海外転属」の代表的な例
- 高度なマネジメントやスキル保持者としてその国ビザを取得できるケース
- 元々その国のビザや国籍を持っているケース
- 夫や妻が、配偶者も働ける国へ海外赴任するケース
1番の場合は、Expat(海外駐在員)としての赴任になるケースが多いので、住居や手当が報酬のパッケージに含まれることが多いです。
この方法が選択肢になるケースは少ないかもしれませんが、「外国人と結婚する」「配偶者が海外転勤する」ということはということは、国際派キャリア志向の方には起こり得ることです。外資系企業であれば状況によっては「海外転属という道もある」という程度に留意しておくとよいですね。
外資系企業で働いてきたこまちは、この3つのいずれのケースにも複数回見かけました。ビザの問題がなければ、海外オフィスへの転属は珍しくはありません。逆のパターンですが、こまち自身も、海外から日本オフィスへ転属をしています。
3. 官公庁・独立行政法人から海外赴任する
3番目は、外交官やジェトロ・JICAなどの独立行政法人から、日本の代表として海外に赴任して働くという方法です。
「官公庁・独立行政法人から海外赴任」の代表的な例
- 外務省専門職員となり、外交官として日本の在外公館へ赴任する。(外務省専門職員採用試験に合格する必要があります。)
- 国家公務員となって、海外の国際機関のポストへ派遣される。(関連の国家公務員試験に合格し、省庁に採用される必要があります。)
- ジェトロ(日本貿易振興機構)・JICA(国際協力機構)・国際交流基金などの独立行政法人へ入って海外赴任する。
「官公庁・独立行政法人から海外赴任」のメリット&デメリット
- 人事制度に基づいた海外赴任。キャリアの一環として海外赴任が組み込まれている。
- 性別にかかわらず平等に海外赴任のチャンスがある。
- 海外赴任中も制度による財政的サポートが充実している。
- 組織のなかでのキャリアというリスク。
- 赴任も帰国も辞令次第。場所やタイミングを自分でマネージするには限界もあり。
新卒でめざすには、「外交官試験に受かる」「ジェトロに就職する」など、厳しい競争を勝ち抜ける必要があります。
その代わり、該当の組織に入れば将来の海外勤務はほぼ約束されているという点が特徴的です。
JICAやジェトロは、中途採用もおこなっています。
中途採用に関しては、自分でウェブサイトなどから情報を得て対応することが必要になります。めざす場合には、目標を定めて「専門性を高める」「英語力を高める」などの準備をしておきたいですね。
4. 在外公館への派遣員として働く
4番目は、在外公館に職員として派遣されるという方法です。あまり知られていませんが、海外にある「日本の大使館で働く」という貴重な体験をすることができます
在外公館(大使館、総領事館、政府代表部、領事事務所)のポジションに応募して、派遣されることになります。
「在外公館への派遣員」の代表的な例
- 外務省在外公館専門調査員:在外公館の一員として、派遣国・地域の政治、経済、文化等に関する調査・研究及び館務補助の業務。原則2年の任期。大学院修了以上が応募条件。
- 外務省在外公館派遣員:在外公館の主として館務事務補佐などの実務面にあたる。原則2年の任期。
- 技術派遣員:在外公館の事務所や公邸等の保守点検・整備を行う。原則2年の任期。
- 公邸料理人:在外公館の対し・総領事の公邸の料理人。
さまざまな国が対象となっているので、一般的に海外赴任や海外移住で移り住むことがむずかしい地域に住むことができる数少ない方法ともいえます。
制度に基づいての海外勤務であり、応募の条件や時期などが細かく設定されています。これらを満たす必要はありますが、年齢的にも幅広く広く開かれています。
参考:国際交流サービス協会
5. 国際NGO・国際協力の専門家として海外で働く
5番目は、国際的なNGO・国連ボランティア・海外青年協力隊などから、専門家として海外へ派遣されて働く方法です。
収入というよりも、やりがいと経験を重視しての仕事となります。次にご紹介する国際公務員へ応募する前の経験として、この働きかたを選ぶ方もいます。
求められる学歴や語学力も高めなので、キャリアプランに組み込んでプランする必要があるでしょう。
6.国際公務員として海外で働く
6番目は、国連(国際連合)の本部やさまざまな国際機関に国際公務員として働くという方法です。
外務省の国際機関人事センターで、国連などの国際機関への就職に関する情報提供・支援を行っています。
「国際公務員として海外で働く」の代表的な例
このほかに、各国際機関が日本へきて採用活動をおこなう採用ミッションも稀にあります。
空席公募や採用ミッションは、選考に合格すると規定の期間にわたって合格者名簿に載って、欠員があるごとに採用面接となるようです。
基本的に修士号以上の学歴が必要になるポジションがほとんどなので、「大学卒業後に大学院へ進む」あるいは「留学して修士を取得する」など、計画的な準備が必要になります。
国際公務員をめざす場合、可能であれば留学経験をおすすめします。しかし、国内でも社会人で修士をめざせるコースが増えています。特に、厚生労働省による専門教育実践給付金を受けることができる専門職大学院であれば、条件を満たせば最大で授業料の50%~70%が給付されますので、国内大学院を検討しているならば、調べてみることをおすすめします。
参考:国際機関等の空席情報一覧
自らの意志で海外へ移り住んで働く方法
ここからは、基本的に組織に頼るのではなく、自らの力で海外へ移り住んで働く方法をご紹介していきます。
7.海外フリーランス・自営業
7番目は、海外に住みながら専門スキルを活かしてフリーランス・自営業などで働く方法です。
「海外フリーランス・海外起業で海外で働く」場合の参考例
- 専門スキルを活かして主として日本から稼ぎつつ海外に住む(職種の例:エンジニア、ウェブデザイナー、アフィリエイターなど)
- 自営業ビザで海外へ移り住み、現地で自営業として独立する(国の例:オランダ、ドイツなど*)
- 長期滞在できるビザを取得して、ビザの条件の範囲で働く。(ビザ種類の例:マレーシアのMM2Hビザ、フィリピンのSRRVなど*)
*: 判断にあたっては、最新のビザ情報で確認をするようお願いします。
上記に加えて、「ノマドビザ」とも呼ばれるフリーランス向けのビザ制度をつくる国が増えつつあります。
独身の個人での移住だけでなく、海外でのライフスタイルを好んで家族移住、あるいは子供の教育を考えて教育移住というケースが多いのもこのタイプの特徴です。
企業などの組織の都合ではなく、「自分の意志と実行力で移住をできる」というのがこのパターンの魅力です。
英語や現地の言語の語学力が充分でない場合には、(特に移り住んだ当初は)日本が収入源となってくるので、移住前にリモートで仕事ができる体制を整えておくことが前提になります。
リモートワークが一般的になってきたので、フリーランスの方がこの方法での海外移住するケースは、今後ますます増えると予想されます。
また、40代~60代にかけてのミドル&シニア層にとっては、他の方法と比較して現実的な海外移住の選択肢といえるでしょう。就労許可を得て働ける場合も多いので、セミリタイヤメント移住的なステイにも人気があります。
8.留学・インターンシップ
8番目は、海外留学をして、在学中・卒業後にインターンシップとして働く、あるいは学生ビザで就労が認められている範囲で働く、というものです。
「留学・インターンシップで海外で働く」の代表的な例
- 留学のプログラムの一部にインターンシップが組み込まれているコースへ留学する。
- 学生ビザでアルバイトが可能、あるいは学期の間の休み期間に就労が可能、という国へ留学する。
- 卒業後に一定期間現地で働けるビザ(卒業生ビザ)がでる国へ留学する。
留学先の国や専攻によっては、卒業後に現地で働いている間に、その後の就労ビザ(10番のケース)あるいは永住ビザ取得の準備をする(11番のケース)、というケースもあります。
留学後に、日系グローバル企業に就職して海外赴任(1番のケース)、在外公館で働く(4番のケース)、あるいは国際公務員として海外で働く(6番のケース)によって、本格的に海外で働く道へ進む場合も多くあります。
このように、本格的&持続可能的に海外で働くには、留学が踏み台になるケースは多くあります。
本格的な学位取得の留学はむずかしい場合でも、「英語留学+インターンシップ」「1年の休学留学で単位取得+インターンシップ」という方法もあり、大学生や社会人の現実的な留学の選択肢として人気があります。
9.ワーキングホリデー
9番目は、ワーキングホリデーによって海外に滞在して働く方法です。
日本政府は、26の国・地域とワーキングホリデー制度を導入しています。
ビザ(査証)申請時の年齢が、国により18歳以上25歳以下、26歳以下、30歳以下などの条件があります。
滞在先の国・地域によって職種や同一雇用主のもとでの雇用期間などの制限があったりしますが、年齢制限を満たすのであれば、ワーキングホリデーは「海外に住む」「海外で働く」という貴重な体験をするチャンスです。
ワーキングホリデーのあとに、自分の進みたい道を見出して留学をする(8番のケース)、働いていたことが縁で就労ビザにつながって現地企業で働く(次に紹介する10番のケース)、現地の人と結婚する(14番のケース)など、ワーキングホリデーが人生の転機になるケースも多く見られます。
外国人のワーキングホリデー利用者は、滞在先において、カフェやレストランといった職種ではなくて、専門を活かした職種(たとえばITや会計など)で働くケースも多いです。日本人であっても、英語力を事前に磨いておけば、海外で専門分野で経験を積む機会にもつながります。これからワーキングホリデーを考える方は、ワーホリの期間を「キャリアに活かす」という視点を持ってもよいですね。
10.海外の現地企業で働く
10番目は、海外にある企業に現地採用の社員として働く方法です。
「海外の現地企業で働く」の代表的な例
- すでに何らかの方法で海外に住んでいて、現地企業が募集しているポジションに応募して採用される。
- 現地企業が人材会社等を通じて募集しているポジションに応募して採用される。
- 留学後のインターンシップや卒業生ビザの期間、あるいはワーキングホリデーの期間に働いた縁で就労ビザをサポートしてもらって働く。
いずれの場合も、現地の企業に就労ビザをサポートしてもらうことが多くなります。就労ビザのサポートについては、国によって状況は大きく異なりますので、その国の状況をしっかり調べる必要があります。
就労ビザで合法的に何年間かを働けば、その後に永住ビザを申請できるという国もあります。
永住ビザを取得して海外で働く
ここからは、一時的なビザではなくて、海外の永住ビザ(永住権)を取得して、長期的・永続的に海外で働くという方法をご紹介します。
11.海外へスキル移住して働く
11番目は、スキルを活かして海外の永住ビザを取得して働く方法です。
上記の10番のケースの延長線上にある「就労ビザを経て永住ビザを取得する」というパターンではなく、こちらは、スキルや経験等の要件を満たすことで「直接に永住ビザを取得する」パターンです。スキル移住、技術独立移住など呼ばれることもあります。
全ての国にある制度ではありませんが、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなどは、スキルや経験等をポイントに換算して、そのポイントが一定数を超える場合に、ビザ申請のいろいろな手続きを経て、永住ビザ(永住権)が与えられるというものです。
多くの場合、その地で不足している職種が対象となっています。そのため、この方法をめざす場合には、「職種選び」が重要な鍵になります。
この方法のメリットは、しっかり準備をすれば、企業等にサポートしてもらうことなく「独立」して永住ビザを取得できるという点です。
デメリットとしては、要件を満たす職種・経験・英語力などが必要になる点、ビザに関する規定が頻繁に変わるリスクがある点などが挙げられます。場合によっては、留学や現地での就業年数が必要になり、達成するまでに長い年月がかかります。
人生の選択肢を増やす
こまち自身は、オーストラリアの技術独立ビザを取得して、オーストラリアに住んで働いた経験を持っています。
永住権があることで、現地に住み始めた当初から「仕事選びに自由がある」「現地の人の感覚で生活できる」などの点でよかったです。
スキル移住での永住ビザ取得は、職種・学歴・職歴・英語力などの条件を満たす必要はありますが、戦略的に準備をすれば、(投資家移住などと比較して)多くの人に開かれた道ですので、「人生の選択肢を増やしたい」と考えている方におすすめです。
尚、各国の移民法は頻繁に変わりますので、いろいろな決断においては、必ず最新の情報を得て、必要に応じて移民法&ビザの専門家を利用するようにしてください。
参考:
Eligibility to apply as a Federal Skilled Worker (Express Entry)(カナダ移民・難民・市民権省)
Skilled Independent visa (subclass 189)(オーストラリア内務省)
Skilled Migrant Category Resident Visa(ニュージーランド移民局)
The UK's points-based immigration system: policy statement(イギリス政府デジタルサービス)
12.投資移住・事業家移住する
12番目は、海外へ投資をしたり、海外で事業を始めたりすることで、海外政府により永住ビザを得て現地に移り住む方法です。
国によってビザの制度は異なりますが、大きくわけて以下のパターンに分けられるかと思います。
「投資移住・事業家移住」の代表的な例
- 投資移住:その国が設定する一定額以上の指定の投資をすることで、永住権が与えられる。
- 起業家移住:現地で指定された規模以上の起業をして、現地国籍の人を一定数以上雇用する。数年間の仮永住ビザを経て永住ビザが与えられる。
- 事業家移住:すでに成功した事業家で、一定規模以上の事業を現地で起こすことにより永住権を与えられる。
すでに大きな資産がある方にとっては、投資移住は確実に永住ビザを取得できる方法なと考えられます。資産を海外へ移す際の税金やその後の生活の本拠地など、専門家のアドバイスを得て、事前に充分な検討が必要です。
投資移住の条件となる「投資額」「投資先」についても、国によって大きな開きがあるので、慎重な移住先選びが求められます。
起業家移住、事業家移住は、一般的にはすでに実業家として一定の実績をあげた方にとっての選択肢と考えられます。
この方法での永住ビザをめざす場合には、現地のビザ制度に詳しい信頼できる専門家を使って準備することをおすすめします。
13. 永住権が取得できる制度を利用して移住する
13番目は、その国の永住権が取得できる制度を利用して永住ビザを得て、現地に移り住んで働く方法です。
代表的な例としては、米国のDiversity Immigrant Visa Programで、これはグリーンカード抽選プログラムなどとも呼ばれています。
特にスキルや語学力などの条件はなく、抽選に受かれば(手続きを経て)米国の永住権を取得できるというものなので、米国への移住希望者には高い人気があります。
この制度でグリーンカードを取得した人を複数知っています。申し込みを代行する業者もたくさんありますが、自分で申し込むことも可能です。夫婦がそれぞれ申し込みすれば、抽選に受かる確率が倍になります。
14.外国人と結婚して海外で働く
14番目は、海外の国籍あるいは永住権をもっている人と結婚する・事実婚することによって永住権を得て、その地で働く方法です。
国によって、結婚してすぐに永住権が得られるのではなく、仮の永住権で結婚生活を数年過ごして、その後に正式な永住権となる場合があります。
海外に永住している日本人では、かなり多くの割合がこのケースです。留学やワーキングホリデーなどで出会って結婚する、というパターンが多いですね。
「どの方法で海外をめざすか」がスタート地点!
このように、遠い存在に思える「海外で働く」状況へ至るには、いろいろな方法があります。
いずれの方法も、細かい内容は異なるものの、以下の5つのステップで進めていくことができます。
- 決心:「海外で働く」ために「どの方法」をめざすかを決める。
- 条件:1番を実現するのに必要な条件を洗い出して、自分に足りないものをリストアップする。
- 行動:2番でリストした項目を満たすための行動を起こす。
- 実践:リストアップした項目が満たされてきたら、「海外で働く」ことへ最後のステップを実践する。
- 実現:実際に海外へ移り住んで働く。
「どの方法で海外をめざすか?」によって、それを実現するためのスキル・経験・語学力・財力などの条件が大きくことなるので、最初のステップで「どの方法」をめざすかを決めることが、とても大切です。
自分の専門分野によって選べる方法は異なりますし、年齢によって不可能な方法もあります。
どの方法としても、「海外で働く方法」を決めたら、実現するために多くの時間とエネルギーを注ぐことになりますし、状況によっては、転職・留学・キャリアチェンジなども必要になるかもしれません。
途中で方向転換することは可能ですが、最初に舟をこぎだす方角が正しければ、目的地に着くのが楽になります。だから、最初の段階で充分に検討を重ねましょう。
この過程で、自分がすでに持っているもの(学歴・職歴・語学力・財力)などをベースに、「自分がどんな働きかたを望むのか?」を留意しながら方法を選ぶ視点を忘れないようにしましょう。「海外で働く」ことが本当の目的ではなく、海外で働いて「自分の望むキャリアの道を歩む」「自分が望むワークスタイルを実現する」などが本当の目的であるからです。
例として、非常に簡略化したものですが、3つの例で上記のステップを考えてみましょう。
【海外で働くまでのロードマップの例】
(スマホの方は横スクールできます。)
決心 | (A)日系グローバル企業から海外赴任 | (B)海外フリーランス | (C)海外スキル移住 |
条件 | ・赴任が可能な会社へのの転職 ・転職で求められる英語力 | ・プログラマーとしてリモートワーク ・経験を積みクライアントを得る | ・スキル移住が可能な国&職種を選ぶ ・必要な専門の学歴&職歴をみたす ・永住ビザに必要な英語力をもつ |
行動 | ・英語力アップ(TOEICなど) ・転職活動をする | ・プログラマーとして転職する (キャリアチェンジの場合もあり) ・経験を積んだのちにフリーランスへ | ・専攻選びで職種&学歴をみたす ・その後に必要な経験年数をみたす ・英語力アップ(IELTSなど) |
実践 | ・海外赴任の希望を出して 数年がかりで海外赴任のチャンスを求める | ・リモートワーク可能な 顧客ベースをつくっていく ・海外へ移り住む準備をする (移住先の国の決定、下見など) | ・スキル移住の永住ビザ申請をおこなう |
実現 | ・辞令が出て海外赴任する | ・海外へ移り住む ・当初は日本の顧客を対象に仕事 ・その後現地の顧客も開拓する | ・永住ビザで入国して永住権を取得 ・現地で就職活動する |
上記はかなり簡略した内容ですが、それでも「どの方法で海外をめざすか」によって、その後の行動が大きく変わってきます。
また、上記は家族(配偶者・子供)のことを直接には考慮していません。家族のことを考慮すると、もっと条件や行動の項目が増えてくるかと思いますが、同じように段階的に考える方法で進めていけます。
人生の大切なプロジェクト!?
一般的に、「海外で働く」と決心してから実現するまでには、(結婚などで移り住む場合を除いては)年月がかかる長期戦となるようです。
参考までにこまちの場合は、上記の(C)のパターンで、学歴や職歴の要件はすでに満たしていた状況で、オーストラリアのスキル移住ビザでの移住をめざしました。
結果として、「移住先の選定(3ヵ月)⇒英語力アップ(6ヵ月)⇒ビザ申請の書類準備(2ヵ月)⇒ビザ申請・ビザ承認(3ヵ月)⇒仕事を退職(2ヵ月)⇒移住⇒現地でビジネス英語スクール(3ヵ月)⇒現地で就職」という流れ(決心してから実際に海外で働くまで)に1年半以上の月日がかかりました。
多くの国で、永住ビザの要件や手続きはだんだん厳しくなっている傾向があるようですので、今であればもっと年月がかかるかもしれません。
代わりに、ノマドビザの増加など、海外長期滞在に関しては間口が広がっている傾向があるので、「海外で働く」という選択肢は全体としては増えています。
いずれにしても、「海外で働く」ことをめざすのは、数年がかりの「人生の大切なプロジェクト」といえるかもしれませんね。
まとめ:「海外で働く方法」を決めて一歩一歩進もう
遠くに見える「海外で働く」という状況も、「海外で働くための方法」を決めて、少しずつ歩みを進めていけば、多くの人にとって手が届く存在となります。
上記では、いろいろな読者層を対象にして多くの方法をご紹介しましたが、それぞれの個人にとって現実的な方法は、おそらく3つ程度に絞られるのではないでしょうか?
3つ程度に絞れたら、それぞれについて、上記でご紹介した5つのステップを検討してみてください。真剣に検討を進めれば、どれが最も「可能性が高いか?」「自分が望んでいるか?」が見えてくるでしょう。
「海外に住んで働く」ことは、人生の選択肢を増やすことにつながります。そして、その後に「日本に戻る」「海外に永く住む」にかかわらず、人生にかけがえのない彩りをもたらしてくれます。
当記事が、「海外で働きたい」と考えている方にとって、彩りある人生へのきっかけとなればうれしいです。